ベトナム産業貿易情報センター(VITIC)の最新情報によると、今年における第一四半期の石炭輸入金額は4億ドルを超えました。この金額は毎年1.6%ずつ上昇しており、これまでに90.6%の上昇になります。
輸入取引国としてはオーストラリアが最大で、およそ取引量は1300万トン、取引額は1億5720万ドルにも上ります。次点でインドネシアの取引量110万トン、取引額7720万ドルになります。
また、ベトナムはロシアから6000万ドルで55万5568トン、中国から5250万ドルで23万3890トン、マレーシアから300万ドルで5万3385トンもの石炭を輸入しています。
歴史的に見てベトナムは石炭を自給自足してきましたが、事態は変わりました。今や石炭輸出国から輸入国になったのです。 「ベトナムは2016年にはおよそ1000万トンの石炭を輸入し、ピーク時には中国から10億kWhものエネルギーを買っています。」と語るのは産業貿易省のホアン・クオク・ヴォン副大臣です。
「中国からの電力輸入は減少していますが、依然として10億kWhにもなります。」
「ベトナムは2020年には電力を賄うために需要の31%に相当する1700万トンもの石炭を輸入する必要がありますし、その後はもっと増加するでしょう。」
石炭火力発電所は環境に悪影響をもたらす半面、成長するベトナムの電力需要を満たすには必要なものだとヴォン副大臣は語ります。しかし、経済の為に環境を犠牲にしてはならないことを付け加えて「将来的には、石炭火力発電所の監督基準や環境基準は厳しくしなければならないでしょう。投資家にも石炭灰の処理について環境的理解を持つ必要もありましょう。」と述べる。
先の11月、コストや持続可能性、外国企業の存在、安全性といった問題から、ベトナムは原子力発電所から手を引きました。二つの原子力反応炉からは4万MWを賄っていますが、270億ドルもの算出コストはあまりにも高価で、GDPの65%にも相当します。
差し迫った電力需要の上昇に見合い、国費に打撃とならない資源はなんでしょうか。そう、石炭です。
ベトナム電力社(EVN)によると、ベトナム国内の年間電力消費量は1620億kWhになるといいます。現在の石炭火力発電所の数は20基ですが、2020年に32基、2030年には51基に増える見込みです。これは、2020年には6300万トンもの石炭を燃やし、国内電力の49%を創出する事になります。
51基の発電所全てが稼働する頃には1億2900万トンになります。2011年から2020年までの国内電力発展計画(PDP XII)から見ると、火力発電所が大きな柱となる事は間違いないでしょう。
アジア開発銀行(ADB)の地域ディレクターのエリック・シジウィック氏の意見では、電力資源は多様化されるべきであり、政府は石炭依存を避け、再生可能エネルギーを軸にするべきといいます。
「理解する限りは、ベトナム政府は再生可能エネルギーに興味を示すものの、コスト問題に頭を悩ませています。再生可能エネルギーのコストは下がりつつありますが、まだまだ高いのです。」、とVETに語りました。「ベトナムは急成長しているため、もっと多くのエネルギーを必要としているのです。」
先月、グエン・スアン・フック首相は、太陽光発電における長期計画を打ち出しました。Decision No.11/2017によると、国内で生産された太陽光発電による電力を0.0935ドルで買い取る事にし、これは風力発電の買取額の0.078ドルよりも高額です。
ベトナム経済研究所のトラン・ディン・ティエン所長はこう語ります
「セメント業界では50%、セラミック業界では35%、繊維業では30%、鉄鋼業では20%、農業では50%の電力消費になります。」
産業貿易省の下に属するエネルギー部門の副大臣のパン・ザ・ハン氏は語ります。
「2016年から2030年までにおいて、電力資源開発と輸送ネットワーク構築の為に1480億ドルが必要とされます。これは2016-2020年に400億ドル、2021-2030年に1080億ドルが必要という事です。」
アジア開発銀行(ADB)地域ディレクターのエリック・シジウィックは語ります。
「必要とされるのは単にエネルギー量だけではないのです。供給網に関しても効率化を図らなくてはいけないのです。」