ドイツ、ベトナムの風力発電開発に協力

ハノイ(VNA)―「ドイツ経済協力開発省(BMZ)によるベトナム風力発電支援」プロジェクトが5月8日のセミナーにて持ち出されました。

ドイツ主導の気候技術に関するプロジェクトは2014年から2018年にかけて690万ユーロの支出をかけています。

産業貿易省のエネルギー部門統括部長のダン・フイ・チュオン氏によると、ベトナムの電力産業はエネルギー資源の不足といった大きな転換点に差し掛かっているそうです。

ベトナムは国内エネルギーの確保に積極的で、温室効果ガスの低減と環境保全に関する委員会を立ち上げています。

2015年の気候変動における国連枠組み大会(UNFCC)における第21回党会議(COP)において、2100年までの世界的気候変動を摂氏2度以下に抑えるよう温室効果ガス排出の低減を目指す150か国のうちの一つがベトナムです。

首相は新再生可能エネルギー資源開発におけるプログラムを承認しました。
そのプログラムは2030年再生可能エネルギー開発戦略を含んでおり、2020年までに25億kWhの風力発電を行い、2030年までに160億kWh、2050年には530億kWhの風力発電を目標としています。

専門家によると、ベトナムは熱帯モンスーン気候に属し3,000㎞もの海岸を有しているため、風力発電に大きな見込みがあるといいます。

また、専門家らは風力発電事業への投資参入の容易化を促す市場ルールや法整備を進めるべきだと強調します。

ドイツ政府の投資を通して、ドイツ国際協働社会(GIZ)は2009年より再生可能エネルギープロジェクトの開発を支援してきました。
この支援には「風力発電拡大支援」プロジェクトも含まれています。

このプロジェクトの枠組み内において、産業貿易省はGIZと共同し、投資家、地方銀行、コンサルタント企業、技術企業の参入における法整備を進めています。

ベトナムにおけるエネルギー転換点

ベトナム産業貿易情報センター(VITIC)の最新情報によると、今年における第一四半期の石炭輸入金額は4億ドルを超えました。この金額は毎年1.6%ずつ上昇しており、これまでに90.6%の上昇になります。

輸入取引国としてはオーストラリアが最大で、およそ取引量は1300万トン、取引額は1億5720万ドルにも上ります。次点でインドネシアの取引量110万トン、取引額7720万ドルになります。

また、ベトナムはロシアから6000万ドルで55万5568トン、中国から5250万ドルで23万3890トン、マレーシアから300万ドルで5万3385トンもの石炭を輸入しています。

歴史的に見てベトナムは石炭を自給自足してきましたが、事態は変わりました。今や石炭輸出国から輸入国になったのです。 「ベトナムは2016年にはおよそ1000万トンの石炭を輸入し、ピーク時には中国から10億kWhものエネルギーを買っています。」と語るのは産業貿易省のホアン・クオク・ヴォン副大臣です。

「中国からの電力輸入は減少していますが、依然として10億kWhにもなります。」

「ベトナムは2020年には電力を賄うために需要の31%に相当する1700万トンもの石炭を輸入する必要がありますし、その後はもっと増加するでしょう。」

石炭火力発電所は環境に悪影響をもたらす半面、成長するベトナムの電力需要を満たすには必要なものだとヴォン副大臣は語ります。しかし、経済の為に環境を犠牲にしてはならないことを付け加えて「将来的には、石炭火力発電所の監督基準や環境基準は厳しくしなければならないでしょう。投資家にも石炭灰の処理について環境的理解を持つ必要もありましょう。」と述べる。

先の11月、コストや持続可能性、外国企業の存在、安全性といった問題から、ベトナムは原子力発電所から手を引きました。二つの原子力反応炉からは4万MWを賄っていますが、270億ドルもの算出コストはあまりにも高価で、GDPの65%にも相当します。

差し迫った電力需要の上昇に見合い、国費に打撃とならない資源はなんでしょうか。そう、石炭です。

ベトナム電力社(EVN)によると、ベトナム国内の年間電力消費量は1620億kWhになるといいます。現在の石炭火力発電所の数は20基ですが、2020年に32基、2030年には51基に増える見込みです。これは、2020年には6300万トンもの石炭を燃やし、国内電力の49%を創出する事になります。

51基の発電所全てが稼働する頃には1億2900万トンになります。2011年から2020年までの国内電力発展計画(PDP XII)から見ると、火力発電所が大きな柱となる事は間違いないでしょう。

アジア開発銀行(ADB)の地域ディレクターのエリック・シジウィック氏の意見では、電力資源は多様化されるべきであり、政府は石炭依存を避け、再生可能エネルギーを軸にするべきといいます。

「理解する限りは、ベトナム政府は再生可能エネルギーに興味を示すものの、コスト問題に頭を悩ませています。再生可能エネルギーのコストは下がりつつありますが、まだまだ高いのです。」、とVETに語りました。「ベトナムは急成長しているため、もっと多くのエネルギーを必要としているのです。」

先月、グエン・スアン・フック首相は、太陽光発電における長期計画を打ち出しました。Decision No.11/2017によると、国内で生産された太陽光発電による電力を0.0935ドルで買い取る事にし、これは風力発電の買取額の0.078ドルよりも高額です。

ベトナム経済研究所のトラン・ディン・ティエン所長はこう語ります

「セメント業界では50%、セラミック業界では35%、繊維業では30%、鉄鋼業では20%、農業では50%の電力消費になります。」

産業貿易省の下に属するエネルギー部門の副大臣のパン・ザ・ハン氏は語ります。

「2016年から2030年までにおいて、電力資源開発と輸送ネットワーク構築の為に1480億ドルが必要とされます。これは2016-2020年に400億ドル、2021-2030年に1080億ドルが必要という事です。」

アジア開発銀行(ADB)地域ディレクターのエリック・シジウィックは語ります。

「必要とされるのは単にエネルギー量だけではないのです。供給網に関しても効率化を図らなくてはいけないのです。」